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Diary & ss

日々の雑記とSS。こちらのSSは、サイトの方のテキストとは、設定が違ったり、あり得ないっしょ的なものだったり、いろいろです。気まぐれに更新(笑)

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コーヒーメーカー 4

「晴天」拍手ありがとうございましたー!
ガンバリマス


さて、コーヒーメーカー、これで終わりです。
3で終わりでもよかったんですが、ちょっとエピローグ的に書きたくなって(笑)


続きを読む、からですー


  1. SS 『コーヒーメーカー』
  2. / コメント:0

ふと、ツォンは目を覚ました。
だが、違和感に眉を寄せ、そして、すぐにその正体に気づいた。自分の目を覚まさせたものは、いつもの目覚まし時計の音ではなかった。
しかも、目に入る内装が、見慣れたものと違うことに気づく。
ようやく、そこで、ここがどこか、そして、なぜ、自分がここにいるかを思い出す。だが、隣にいるはずの姿がないことに気づき、あわてて起き上がった。
昨晩のことを思い起こさせるように、ベッドの周りに散らばったままの服をかき集め、手早く身につける。
だが、求める姿は、隣の執務室にもなかった。
もちろん、オフィスにもない。
ふと思いついて、その奥の食堂に足を踏み入れる。
広々とした食堂には、朝の光がさんさんと差し込み、まぶしいほどだった。
その窓際に、ほっそりとした後ろ姿があり、ツォンは、ほっと吐息をついた。
気配に気づいたのか、ルーファウスが振り向いた。
「おはよう」
「おはようございます」
答え、だが、ルーファウスが何をしているかに気づき、ツォンはあわてて、駆け寄った。
「そのようなこと、言ってくだされば、私がやります」
ルーファウスは、エスプレッソマシーンの前に陣取り、コーヒーを作ろうとしているのだった。
それは、数日前に、レノがエッジに立ち並ぶ店で買ってきた品だった。
リサイクル品の店ということだったが、品物は新品で、おそらく、どこかの店頭にあったものがそのまま流れて、その店で売られていたのだろう。
カフェポッドも一緒に売られていたらしく、レノから「買って帰りたいんだぞ、と」という連絡が入ったとき、ツォンは、すぐに許可を出していた。レノは、もちろん、自分で飲みたかったのだろうが、ツォンとしては、コーヒー好きのルーファウスのために、是非ともそれが欲しかった。
もっとも、住み込みで働いている、元神羅家の料理人は、おいしいコーヒーを入れてくれる。だが、星痕が癒えてからのルーファウスは、時間を気にせず仕事をするようになっていて、そのたびに、料理人を呼び出し、コーヒーを入れさせるのも気が引ける。このマシーンがあれば、好きな時においしいコーヒーが飲めるわけだった。
「そんなに慌てるな。たまには、いいだろう」
ルーファウスは、おもしろそうに笑った。
「寝過しまして、申し訳ありません」
ツォンにとっては、自分が、ルーファウスより遅く起き、しかも、コーヒーまで作らせるなど、あり得ない失態だった。だが、ルーファウスは含み笑いを浮かべながら言った。
「かまわん。それに、おまえの寝顔を初めて見れたしな」
ツォンは思わず、さっと頬が熱くなるのを感じた。
「そ、そんなものは……お見せするようなものではなく……」
「悪くなかったぞ」
からかうように言われ、ツォンは困り切って、うつむいた。
「……とりあえず、続きは私が……」
場所を交代しようとすると、ルーファウスが、軽く手を振った。
「これを、覚えているか?」
そう言って、エスプレッソマシーンを指さす。
もちろん、ルーファウスが何を言いたいか、ツォンにはすぐにわかった。レノが買ってきた時から、そのことに気づいていたからだ。
「おまえが買ってきたものと、似ている」
ツォンは、小さく微笑んだ。
「……覚えていらっしゃいましたか」
そう、この、エスプレッソマシーンは、地下施設に監禁されたルーファウスのために、ツォンが買い求めたものとよく似ていた。
もっとも、あれは、もう、かれこれ、7年近くも昔のことである。おそらく、これは、その後に製造されたものだろうが、基本的な構造は同じところを見れば、おそらく同じメーカーのものだった。
「これなら、私にも作れる。作ってやるから、そんなところに突っ立ってないで、座れ」
「では……カップを取ってまいります」
ツォンは、キッチンへ足を踏み入れた。
ここは、神羅の別荘だけあり、キッチンも使用人が働くことを想定してあるのだろう。小さなレストランほどの大きさはある、機能的なキッチンだった。
だが、いま、そこに人は誰もいない。
二日前から、ルーファウスが、使用人全員に休暇を与えたのだ。ツォンをのぞく三人のタークスたちが休暇でいない間に、使用人たちにも、いっせいに三日間の休みをとらせたのだった。
棚から取り出したカップを二つ持って戻ると、ちょうど、エスプレッソができあがり、辺りにいい香りが立ち込めていた。
「私がやりますから、お座りください」
ツォンが言うと、ルーファウスは苦笑し、手近にあった椅子に座った。
カップに濃厚な香りをたてるエスプレッソが注がれる。
「美味いな」
一口飲んで、ルーファウスが満足そうに笑みを浮かべる。
「はい」
ツォンもまた、微笑みを返した。



「静かだな」
「はい」
「これも、あと一日か」
明日になれば、タークスの三人組も使用人たちも戻ってくる。
「そうですね。……朝食を作りましょうか」
料理人たちが休みをとっているこの三日間、ツォンが食事を作っていた。もちろん、さすがに夕食は、ルーファウスがいつも食べるような食事をツォンが作れるわけもなく、麓の町にある、小さな、だが味はいいと評判のレストランから、二人分の食事を運ばせていた。だが、朝食と昼食は、ツォンがあれこれと作っていたのである。
ツォンは、基本的に器用で、たいていのものは作れる。おそらく、タークス四人組の中では、一番、まともなものを作れた。イリーナを入れても、である。
「なにか召し上がりたいものはありますか?」
ツォンに尋ねられ、ルーファウスは、少し、首をかしげるように考え込んだ。だが、ふと、その頬に、いたずらめいた笑みが浮かんだ。
「朝食もいいが……」
ルーファウスは、ふと言葉を切り、意味ありげに、立ち上がりかけたツォンを見上げた。
その意味に気づかないツォンではない。
小さく微笑み、誘われるままに、唇を重ねた。
「寝室に行くぞ」
だが、囁かれた言葉に、思わず、目を瞬く。
「昨日は、早々に寝てしまったらしいからな」
ルーファウスが、苦笑する。
昨晩、仕事に没頭したあと、なだれ込むように、ベッドで抱き合った。だが、疲れがたまっていたのか、一度、身体を繋げただけで、ルーファウスが気を失うように眠りについてしまったのだった。
「今日は、休みにするぞ」
ツォンは思わず笑った。
「はい」
もう一度、唇を重ね、そのまま、ふわりとルーファウスの身体を抱き上げた。
二年間の療養生活で落ちた体重は、当然のことながら、まだまったく戻らず、その身体は骨ばって、恐ろしく軽い。だが、それでも、心臓は確かに脈打ち、腕の中の身体は熱を帯び、その確かな生命を伝える。そのたびに、何よりも大切な存在を喪わずにすんだ奇跡を、深く、天に感謝するツォンだった。
「……当たり前のように、抱き上げるな」
腕の中で、ルーファウスがブツブツと言った。
「まだ、歩かれるのは大変かと」
「そんなことはない。だいぶ、歩けるようになった。さっきはここまで、一人で来たぞ」
「……またお疲れになっても困りますから」
ツォンの言葉に、ルーファウスは眉を上げた。
「誘っていただけて、舞い上がってますので……たぶん、歯止めがききません」
ルーファウスは、くっと笑った。
「おまえは、自制心の固まりではなかったのか」
「社長が相手では、無理です」
ベッドの上に、そっと、ルーファウスの身体を下ろし、ツォンは、もう一度、唇を重ねた。



END


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