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Diary & ss

日々の雑記とSS。こちらのSSは、サイトの方のテキストとは、設定が違ったり、あり得ないっしょ的なものだったり、いろいろです。気まぐれに更新(笑)

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コーヒーメーカー 3

拍手ありがとうございますー!
ホント、励みになりますガンバリマス!


コーヒーメーカー まだ続いてます(笑)





  1. SS 『コーヒーメーカー』
  2. / コメント:0


だが…。
『エスプレッソが飲みたいのだが』
その電話がかかってきたのは、それから三日もしないうちだった。
携帯電話で話していたルードに待つように言い、ルーファウスからの電話に出る。
「エスプレッソ、ですか」
『ああ。この前教えてもらった作り方には、エスプレッソの作り方はなかったと思うが』
エスプレッソ。
そうか、コーヒーメーカーではエスプレッソは作れない。
「……わかりました。伺います。……申し訳ありません、30分程、お待ちいただいてもよろしいですか?」
『かまわん』
「ありがとうございます。では、30分後に」
そして、その30分後、ツォンは、家電量販店の包みを抱えて、地下監禁施設のドアをくぐった。
「それはなんだ」
包みを開いていくツォンの手元を、ルーファウスが興味津々という顔で覗きこんでくる。
その顔が、年齢相応の幼さを感じさせ、ツォンは、ひそかに微笑んだ。
「エスプレッソマシーンです」
ルーファウスが目を瞬く。
「これで、エスプレッソが作れます。コーヒーメーカーも兼ねていますので、普通の豆を引いた粉を使えば、レギュラーコーヒーももちろん作れます。スチームミルクを作れば、カプチーノも作れます」
「すごいな」
ルーファウスが、心底、感心したように呟く。
「はい。これで、副社長にもご満足いただけるのではないかと思います」
「ふむ。私にも作れるのか」
「はい。こちらも簡単です。まず、ここに水を入れます。そしてここに、カフェポッドをセットします。これはお好みで。いろいろ取り揃えて買ってまいりましたので、お好きなものをお飲み下さい」
「ふむ。味が違うのか」
「はい。苦味の強いもの、酸味の強いもの、いろいろございます」
「わかった。それで?」
「セットしましたら、ここのロックを解除し、こちらのボタンを押します。スチームミルクはこちらのボタンで作れます。作ってみましょうか」
ツォンの手が動くのを、ルーファウスがじっと見つめている。ブツブツと口の中でつぶやいているのは、おそらく作り方を覚えているのだろう。
そういえば、と思い出す。
副社長になったばかりの頃、ルーファウスに銃の手ほどきしたことがあった。その時も、こんな風に、ツォンの言うことをじっと聞き、何度も、ツォンの言う注意事項をブツブツと繰り返しながら練習していた。あの頃は、まだルーファウスのことをよく知らなかったこともあり、その、素直な、一生懸命な姿を意外な想いで見たことを思い出す。
今になれば、わかる。基本的に、ルーファウスは、何か、新しいことを知るのが好きだ。そして、それが納得できるものであったり、自分に必要なことであると思えば、素直に、受け入れていく。ルーファウスと素直、という言葉は、どうやっても結びつかないようなイメージがあるが、本当の意味で有能な人間は、必要な時は、いくらでも素直になれるものである。ルーファウスも、そうなのだろう。
「……どうした?」
いぶかしげに問いかけられ、ツォンは、自分が、不自然なほど長く、上司の顔を見つめていたことに気づいた。あわてて、視線をエスプレッソマシーンに向ける。
ピピッと音がして、抽出が終わった。
「出来上がりです」
ステンレスのポットにできあがったエスプレッソを、ルーファウスのカップに注ぐ。
「どうぞ」
ダイニングテーブルの上に、カップを置くと、その前に座ったルーファウスが、目を輝かせてカップを持ち上げ、口に運んだ。一口飲み、嬉しそうに笑う。
「美味いな」
「それは、よかった」
「家で飲んだのと変わらない。執事もこれで作っていたのか?」
「あー……いえ、それは、ないかと思いますが」
神羅家の、あの忠実な執事が聞いたら、この世を儚んで自殺しかねない、と思いつつ、呟く。
ルーファウスはもう一口飲んで、満足そうに、ツォンを見つめた。
「ツォン、礼を言う」
「いいえ」
「しかし、おまえはすごいな」
「……は?」
「なんでも知っているし、なんでもできるな」
上司が冗談を言っているのか、と、ツォンは、思わず、おいしそうにエスプレッソを飲むルーファウスの顔を見つめた。
だが、その顔は冗談を言っているようでもなく、他に、なにか他意があるわけでもなさそうだった。
「……どうかしたか?」
「いえ……」
ツォンは、ひそかに、小さな吐息をついた。
(……普通はできるんですよ)
とは、口が裂けても言えないツォンだった。


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