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Diary & ss

日々の雑記とSS。こちらのSSは、サイトの方のテキストとは、設定が違ったり、あり得ないっしょ的なものだったり、いろいろです。気まぐれに更新(笑)

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コーヒーメーカー 1

更新が滞ってますので!
気楽~~な感じで書いたSSをupしてみました。

「続きを読む」をクリックしてくださいー。ツォンさんとルー様。監禁時代です(ナニ

一応、続いてます……たぶん(笑)





  1. SS 『コーヒーメーカー』
  2. / コメント:0






『コーヒーが飲みたいのだが』
その電話がかかってきた時、タークスの主任ツォンは、ちょうど、テロ組織アバランチの内情を探りにウータイへ潜入していたレノと、携帯電話で話している途中だった。
レノに指示を出している最中に、デスクの上に置かれた電話の、上部にある赤いランプが点灯したことに気づく。とりあえず、レノに待つように言い、受話器を取る。なぜなら、その赤いランプが点灯するのは、ある人物からの直通電話が入った時だけだからだ。
副社長である、ルーファウス神羅。
それが、この直通電話の相手である。
ルーファウスは、現在、表向きには長期出張中、ということになっている。だが、実際には、神羅本社ビルにほど近い場所にある、タークスの地下監禁施設の一室に、父親であるプレジデントによって幽閉されていた。
当然、タークスの施設に幽閉されているため、その世話はタークスで行うことになる。もっとも、日常の細々とした世話、たとえば、食事、洗濯、掃除、といった雑務は、神羅家の使用人たちが、通いで行うことになっていたが、ルーファウスと外部との接触を、完璧に遮断するため、使用人たちとルーファウスが顔を合わせたり、言葉を交わしたり、ということは、まったくできないようにされていた。
そんな中で、ルーファウスとの連絡役となったのが、脱退したヴェルドに代わり、主任の座についたツォンだった。
もっとも、連絡役、というと聞えはいいが、要するに、ルーファウスのあれこれのリクエストを聞き、それがかなえられるように、様々な方面を調整し、という、体のいい雑用係だった。そうは言っても、プレジデントから「外部と連絡を取りたいという願いでなければ、どんなことでも願いをかなえてやれ」と厳命されているだけに、職務に忠実なツォンは、どんなに急ぎの案件を処理していようと、その電話を無視できようはずもない。もっとも、無視などできるわけがない他の理由もあったが、とりあえず、それは置いておく。
そんなわけで、部下を待たせたまま、受話器を取りあげたのだが、その言葉を聞き、思わず、絶句した。
「……コーヒー、ですか?」
『そうだ』
受話器の向こうのルーファウスの声は、いつものように、平静で、あまり感情をあらわにしない静かなものだった。
ツォンは、必死で、頭を、テロ組織アバランチから、コーヒーに切り替えた。
コーヒー。
副社長のコーヒーはどうなっていただろうか。
「プライベートルームの、ダイニングのサイドテーブルにコーヒーメーカーをご用意していたかと思いますが」
『あんなもの、飲めるか』
途端に返ってきた、ルーファウスの不機嫌そうな声に、ツォンは、言葉に詰まった。
「……と、おっしゃいますと?」
『給仕が作っていったらしいが、あんな不味いものは飲めん』
給仕とは、神羅本宅の給仕だ。
ルーファウスの食事は、神羅本宅の料理人が作ったものを、給仕が地下施設まで運び、ルーファウスがオフィスルームにいる間に、プライベートルームに運び込み、セッティングを整える、という手筈になっていた。
仮にも、神羅家の給仕である。そんな不味いものを作るとも思えない。というより、コーヒーメーカーで作るのに、それほど不味いものができあがるはずがない。
『煮詰まっているし、酸味も増している。私はあんなものは飲めん』
ツォンは、思わず、宙を仰いだ。
時計を見れば、10時を過ぎている。
ルーファウスは規則正しい生活を好むらしく、幽閉されて一週間が過ぎているが、起床は6時、朝食は7時というスケジュールをきちんと守っていた。窓のない監禁施設では、日が上ったものわからず、また、何かの予定があるわけでもないのだから、いくらでも自堕落に過ごそうと思えばできるはずだった。だが、ルーファウスは、きちんと起床時間と食事の時間を守って生活しており、ツォンは、ひそかに驚いていたのだった。
そんなルーファウスは、今朝も、きちんと朝7時に朝食をとっている。つまり、朝の7時に、給仕が作ったコーヒーが不味くなって飲めない、と、そういうことなのだった。
それはそうだろう、と思う。
(新しく作ればいいのでは……)
喉元まで言葉が出かかるが、ぐっとそれを飲み込む。
この一週間で、ツォンが、学んだことがあった。
それは、頭脳明晰で、弱冠一六歳にして、すでに有能な企業家としての片鱗を示しており、しかも、その辺の少女よりも美しいと言われるほどの美貌の持ち主である、この才色兼備な神羅の御曹司にも、ある大きな弱点がある、ということだった。
全く、生活能力がないのである。
要するに、日常生活に関することは、何一つ、できない。
電気ポットを見たことすらなかったということを知り、思わず、まじまじとルーファウスを見てしまったものだった。
だが、考えてみれば、それも当たり前のことだった。
生まれた時から、大勢の使用人にかしずかれて生きてきたのである。食堂へ行けば、食事が出され、執事を呼べば、コーヒーが供され……そんな生活をしてきたルーファウスに、電気ポットを使え、という方が間違っているのである。ましてや、コーヒーメーカーなど、見たことも聞いたこともないだろう。
ツォンは、ひそかに心の中で、ため息をついた。
「……わかりました。今、伺います」
ツォンは、それでも、丁寧に言うと、受話器を置く。
そして、携帯電話の向こうで待つレノに向かい、口早に指示を投げながら、デスクの横においてあるハンガーラックからスーツの上着を取り、羽織った。
「副社長室へ行ってくる」と部下に声をかけ、足早にタークス本部を出た。
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