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Diary & ss

日々の雑記とSS。こちらのSSは、サイトの方のテキストとは、設定が違ったり、あり得ないっしょ的なものだったり、いろいろです。気まぐれに更新(笑)

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エッジの休日 3

「エッジの休日 3」ですー!

ツォンさん、踏んだり蹴ったり(笑)
  1. SS 『エッジの休日』
  2. / コメント:0




ルーファウスは、自分が注目されていることに気づいているのか、いないのか、まったく注意を払う様子もなく、歩いていく。
「お疲れではないですか?」
ツォンは、少し、人が途切れたあたりで、そっと話しかけた。
「いや、おもしろい」
ルーファウスは、満足そうに言った。
「大きな通りは、中心の広場から3本だな。ミッドガル方面と、カーム方面、南に行く道はジュノン方面か?」
「はい。WROがジュノンから、資材を運んできておりますので、この道は、ジュノンまで、かなり整備が進んでいると聞いております」
「なるほどな」
ルーファウスは、そこで、足を止めた。
そして、左に入って行く細めの道を覗き込む。
その道の両側にも、びっしりと建物が建っているが、いかにも、雑然とした様子が見て取れる。
「裏通りか。見てみよう」
無造作に、その道に足を踏み入れようとしたルーファウスを、ツォンはあわてて止めた。
「少し、お待ちください」
そして、 口元のマイクでレノを呼び出す。
「こちらが見えるか」
『見えるぞ、と』
「この道は、安全か?」
『うーん……そこより、一本先を左に入る道の方が、安全だぞ、と』
「なら、そこでいい。先に行って安全を確認しろ」
『了解だぞ、と』
視界の隅で、服装といい、態度といい、見事にエッジの街に溶け込んでいる、赤毛の部下が道の反対側を足早に歩いて行くのが見えた。
「この先の道が安全なようですので、そちらに」
ツォンの言葉に、ルーファウスは軽くうなずいた。
レノの言った道は、裏通りとはいえ、それほど細い通りでもなく、人通りがまったくないわけでもなく、確かに危険ではなさそうだった。
エッジは、災厄のあと、勝手に増殖していった、いわば、場当たり的に発展してきた街である。
途中から、リーブが組織したWROが介入し、神羅が持っていた建築資材や機器を投入し、それなりにしっかりした街づくりを進め始めたが、ミッドガルから避難した人々が、自分たちが雨露をしのぐための家を作るのを、止めるわけにも行かず、結局、きちんとした計画を持って、建築物が作られているのは、メインの通りに面した一部分のみにとどまっていた。それ以外の部分は、災厄から二年以上がたった今でも、廃材を組みあわせて作ったような建物がバラバラと林立する、雑然とした、無秩序な街並みが続いていた。
そしてまた、そのような場所は、犯罪の温床にもなるわけで、WROの自警団が、やっきになって治安を維持しようとしていたが、なかなか、うまくは行っていないのも、また事実だった。
「リーブもここまでは手が回らんのだろうな」
「そうですね」
興味深そうに、廃材を組み合わせたような、家々を眺めながら、ルーファウスは歩いて行く。
ところどころに、小さな店や酒場もあり、人通りがないわけではない。
だが、ツォンは、メイン通りを歩いていたときよりも、緊張感を高めていた。
といっても、神羅の社長だと見破られることは、もう、それほど心配はしていなかった。それよりも、ルーファウスが、こんな恰好をしていても、一目で、それなりの階級にいる人物だとわかってしまうことが心配だった。
姿勢ひとつで、その者の階級がわかる、とはよく言われるが、ルーファウスはまさにそうで、幼い頃から上流階級のマナーを叩き込まれてきた御曹司らしく、その姿勢はもちろん、歩き方や、ひとつひとつの仕草にも、なんともいえぬ優雅さがあるのである。
人通りの多いメイン通りでは、女性たちの視線をくぎ付けにするだけで済んだが、裏通りでは、好ましくない人種に狙われる可能性も高くなる。
ツォンは、メイン通りでは、なるべく己の存在を消し、人ごみに紛れるようにしてルーファウスを警護していたが、裏通りに入ってからは、わざといかにも護衛然とした態度で、傍らに寄り添った。
「レノ、どこだ」
『少し、先にいるぞ、と』
「よし。イリーナ、ルード、少し近づけ」
『了解』
そんな部下たちのやりとりには、関心を払わず、ルーファウスは、のんびりと歩いて行く。
ふと、何やら、変わった外装の建物が現れ、ルーファウスは、首をかしげるようにして足を止めた。
廃材を組み合わせて作ってある点は、他の建物と同じだが、色合いといい形といい、可能な限り派手で、人目を引くような作りになっていた。どことなく、ゴールドソーサーにでもありそうな雰囲気、とでも言ったらいいだろうか。
「これは、なんだ。店か?」
眉を寄せた、ルーファウスが、いぶかしげに言う。
その建物に目をやったツォンは、少し、奥まったところに掛けられた看板で、そこが、いわゆる、その手のホテルだということに気づいた。
なんと言おうかと悩み、結局、仕方なく、
「ホテルですね」
と、当たり障りのない返事を返す。
「ホテル?」
ルーファウスの眉が、さらに寄せられた。
それはそうだろう。ルーファウスが泊るようなホテルは、どこも超一流の高級ホテルである。こんな街の裏に建つ、うらぶれた建物がホテルと言われてもピンとこないだろう、と思う。
だが、ルーファウスは、納得したようにうなずいた。
「ああ、これが、ラブホテルか」
ツォンは、思わず固まった。
「なんだ。私が知らないとでも思ったか」
ルーファウスが、おもしろそうにツォンを振り返る。
「いえ……」
「まあ、見たのは初めてだがな」
ルーファウスは、軽く笑って、歩きだした。だが、
「おまえは、入ったことはあるのか?」
あっさりと聞かれて、今度こそ、ツォンは、絶句して足を止めた。
「……は?」
「ラブホテルだ。入ったことはあるのか?」
「は……いえ、その……」
しどろもどろになった、ツォンを見て、ルーファウスは、なにかに気づいたように軽く手を振った。
「ああ、勘違いするな。別に、妙な嫉妬などをしているわけではないから安心しろ」
これまた、あっさりと事務的に言われて、ツォンは、へたり込みそうになる。
普通に聞けば、これは、恋人として認めてもらっているから、嫉妬、などという言葉が出てくるわけで(たぶん)、嬉しいと思っていいはずだった。だが、ちっとも嬉しくないのは、なぜだろう、と泣きたくなる。
「ただ、中はどんな感じなのだろう、と思ってな。まあ、いい。レノあたり、詳しそうだな。あとで聞いてみよう」
淡々と言うルーファウスの後ろ姿を見て、思わず、何度目かのため息をついてしまうツォンだった。
だが、試練はそれで終わりではなかった。
すぐ、2、3軒となりも、地味な、街に溶け込むような外観ではあるものの、ラブホテルであることに気付く。改めて見回すと、この通りの、半分からこちら側は、どうやら、ラブホテルが集中しているらしく、この先にも明らかにそれとわかる建物が続いていた。
ツォンは、どうにもいたたまれぬ気分になりながら、レノに聞いた自分が間違いだった、と深く後悔したが、今さら、道を引き返すわけにもいかない。
ルーファウスは、そのことに気付いているのかいないのか、相変わらず、興味深げに街並みを見ながら歩いていたが、ふと、ツォンを振り向いた。
その目に、性質の悪い光が浮かび、頬に小さな笑みが浮かんでいるのに気付き、ツォンは、思わず身構えた。
いろいろな美点はあるものの、性格がいい、とだけは、さすがに、べた惚れに惚れているツォンも言えないこの上司が、こういう目をするときは要注意なのだ。それは、長い付き合いでよくわかっていた。
案の定、その、形のいい唇から洩れたのは、からかうような声だった。
「なんだ、入りたくなったか?」
その口調から、ラブホテルが軒を連ねていることも、それを見て、ツォンが、気まずい思いを抱いていることも、すべて、この上司にはお見通しだったことがわかり、ツォンは、心の中で深くため息をついた。
ルーファウスは、涼しげな美貌に、おもしろそうな笑みを浮かべて、ツォンを見ている。
そして、不意に、すっと顔を寄せた。
「私は構わんが。中も見れるしな」
囁くような声に、間近にあるルーファウスの顔を見下ろせば、身長差から、すくいあげるように自分を見あげる青い瞳とぶつかった。
その瞬間、ツォンは、思わず、小さく喉を鳴らしていた。
昨晩、腕の中で、快感に喘ぎながら、熱っぽく潤んだ瞳で見上げてきたルーファウスを思い出してしまったのである。
思わず反応しかけた下半身を意志の力で押さえこむ。
「……ご冗談を」
呟くように言ったツォンを見て、ルーファウスは、楽しそうに笑った。





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